日本摂食嚥下リハビリテーション学会 医療検討委員会

近年、内視鏡検査における感染防御対策が、さまざまな学会の発刊による内視鏡洗浄・消毒に関するガイドラインや手引きで示されており、本学会の「嚥下内視鏡検査の手順2012改訂(修正版)」(PDF)も一部改訂する必要があると判断いたしました。以下の手順目次のうち、5.及び7.につき加筆修正いたします。各施設の実情にあわせて利用して頂きたいと思います。

目 次
1. はじめに
2. 検査の目的と適応と対象
3. 検査の名称
4. 検査の説明と同意
5. 準備するもの
6. 嚥下内視鏡検査用機材
7. 保守,洗浄・殺菌・消毒,衛生管理
8. 手技
9. 手技の習得
10. 小児での検査のポイント
11. 嚥下内視鏡の合併症と対策
12. 評価

5 準備するもの

(6)消毒薬、内視鏡洗浄消毒装置など(7 保守の項参照)

①消毒薬
内視鏡の消毒には,医薬品として認可された高水準消毒薬である、フタラール(ディスオーパ® ほか)、グルタラール(ステリハイド®、サイデックスプラス®ほか)、過酢酸(アセサイド®ほか)のいずれかを使用する。蒸気に刺激性があるため、消毒時はガウン、マスク、手袋、ゴーグルなどの防護具を必ず着用し、換気が可能な環境で使用する。フタラールにはアナフィラキシーショックの報告もあるため、取り扱いには注意が必要である。

②内視鏡自動洗浄消毒装置
原則的に、挿入部(シャフト)のみならず、操作部や接続部も含めて内視鏡全体を洗浄・消毒を行う必要がある。洗浄・消毒の均一化と消毒薬の人体への悪影響を考慮すると、設置する場所が必要かつ移動が不可能であるものの、自動的に内視鏡を洗浄・消毒する機器を用いることが望ましい。内視鏡自動洗浄消毒装置は多くのメーカーから販売されているが、洗浄・消毒できる内視鏡や使用できる消毒薬が限定されている場合もあるので、購入する際はよく確認する。
内視鏡自動洗浄消毒装置の一例(2017年8月1日現在)
エンドクレンズ(R)-D/-S(R)(ジョンソンエンドジョンソン)・・・フタラール用
エンドフレッシュ(R)(富士フイルムメディカル)・・・過酢酸用

③酵素洗浄剤
内視鏡を水洗したのち、付着した血液や体液を除去するため用いる。アルコールはタンパクを凝固させてしまうので使用しない。

7. 保守,洗浄・消毒,衛生管理

内視鏡はきわめてデリケートな機器であり、慎重な取り扱いが必要である。特に内視鏡先端部にあるレンズ面は、傷をつけないようにしなければならない。ファイバースコープでは、フレキシブルな挿入部(シャフト)は強く曲げると光ファイバーが折れて、画面に黒い点が見えるようになり画像が劣化する。特に操作部と接続する部分が折れ曲がりやすいので、持ち運びの際は注意をする。また、ケースに入れるときは、シャフトを蓋で挟んで破損しないように気をつける。

施設によって、内視鏡の種類や洗浄・消毒法は異なると思われるが、本稿では嚥下内視鏡検査で最も多く使用されている、吸引チャンネルのない内視鏡を洗浄・消毒する方法を解説する。

1)洗浄・消毒を行う者は、安全のため,ガウン、手袋,マスク,ゴーグル等の防護具を着用する。

2)内視鏡の使用後は、すぐに水洗し、シャフトに付着した血液や体液を除去する。続いて、酵素洗浄剤を浸したスポンジで拭き取り、再度水洗する。強くこすりすぎると,シャフトを包むカバーが裂けてしまうことがあるので注意する。蛋白成分が残存していると消毒薬で凝固してしまうので、この過程を疎かにしない。

3-1)内視鏡自動洗浄消毒装置を用いる場合:洗浄・消毒方法は各装置の説明書に従う。内視鏡全体が浸漬されるよう、また、水流でシャフトを損傷させないよう、内視鏡を洗浄槽に丁寧にセットする。

3-2)内視鏡自動洗浄消毒装置を用いない場合:内視鏡全体が入る容器に消毒薬を注ぎ、浸漬する。浸漬時間は、グルタラールで10分間、 フタラール、過酢酸で5分間とする。浸漬時は内視鏡周囲の水泡を除去し、十分に消毒薬と接触するようにする。過酢酸は金属腐食性があるので、長時間の浸漬を避ける。浸漬後は人体への有害作用を有する消毒薬を十分に洗い流す。

4)内視鏡の外表面の水分を拭き取った上、アルコールで拭いてから乾燥させる。