日本摂食・嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食特別委員会

嚥下機能に配慮して形態を調整した食事は、摂食・嚥下障害リハビリテーションにおいて重要な役割を果たしています。米国では、すでに2002年にアメリカ栄養士協会によりNational Dysphagia Dietが発表されていますが、残念ながらわが国には統一規格がなく、複数の食事段階基準が併存し、かつ各施設でさまざまの段階が作成・利用されています。

このたび、当委員会では、統一基準としての嚥下調整食5段階試案(表)を作成しました。既存のさまざまな段階案の成立の背景には敬意を表するものですが、統一基準のないことが、一般社会や多くの臨床家から見たわかりにくさの原因となっており、摂食・嚥下リハビリテーションのさらなる発展と普及のためには不利益と考えます。

嚥下調整食5段階(嚥下調整食特別委員会試案)(以下試案)のねらいと特色は以下の点です。

  1. まずは共通理解の得られるものを作成し、今後、研究の進歩・知識の累積による改定や追記をすることとする。
  2. 既存の分類段階との対応を配慮する。
  3. 試案としての段階数は少なめとし、各施設で特化した部分には各施設でより細かい区分を作成・利用していただくことも差し支えない。
  4. 固体・半固体については、日本語での表現のみとし、測定物性値での表記は現時点では行なっていない。その理由は、不均一な食材の測定に関する共通見解や、患者に対する物性値でのエビデンスが不足していることと、実際に、作成者・利用者の多くが物性測定ができないという事実に配慮したものである。
  5. この試案は基本的に、中高年の脳卒中や加齢等による中途嚥下障害を主な対象として想定している。咀嚼能力も未発達の小児、あるいは食物経路の狭窄性の障害においては、今回の試案はそのまま難易度も含めて適応することは困難であるが、もっとも基本的な分類としての利用は可能である。
  6. 一段階目の「嚥下調整訓練食」を除けば、いずれも物性に関する表記のみで、エネルギー(カロリー)・量については言及していない。これは形態調整に関する共通理解を目指しているからである。形態調整は、栄養素や量の調整による既存の治療食を縦軸とすると、横軸のような位置づけである。すなわち、「段階コード3・嚥下調整ピューレ食で糖尿病1800kcal」のように想定している。もちろん、普通食における嚥下調整食について各施設で、主要な対象症例群にあわせて、基本的なカロリー量を設定することは自由にできるものとする。

上記の条件と特性をご理解のうえ、表に示す試案につき、会員の皆様の率直なご意見をお寄せいただければ幸いです。ご意見、ご提案等は学会事務局(FAX: 052-848-6569,e-mail: jsdr@fujita-hu.ac.jp)までお送りください。
なお、パブリックコメント受付は平成24年8月31日で終了予定です平成25年2月末までです。
 

日本摂食・嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食特別委員会
藤島一郎(委員長)、藤谷順子、宇山理沙、大越ひろ、栢下 淳、高橋浩二、前田広士